S&P500神話の終わる時 ~インデックス投資バブルの形成過程と、AI投資がもたらす株式市場のレジームチェンジ~
五月(片山晃) ·
30年前は実体経済と密接だった時価総額上位が、今やネット・ソフト・半導体で埋め尽くされている事実に改めて圧倒される。 「利益率が高い=参入障壁」という解釈でPERが吊り上がり、市場全体の時価総額が押し上げられる仕組みは、ある種のマジックだな。 この集中が正当化される限りはS&P500も安泰だけど、逆にこの支配圏が崩れたときが本当のレジームチェンジになりそう。
1.実体経済とは別物になった米国株式市場 1990年代の米国株の時価総額上位は、エクソンモービル(石油)、AT&T(通信)、ウォルマート(小売)、ゼネラル・エレクトリック(電気機器)、メルク(製薬)、コカコーラ(食品)、シティグループ(銀行)といった銘柄で構成されていた。 2025年現在の時価総額上位は、Nvidia、マイクロソフト、アップル、アマゾン、メタ、ブロードコム、アルファベット(Google)、テスラなどで、ネットやITサービス、半導体などのテックカンパニーに大きく偏っている。 首位のNvidiaが4.3兆ドル、2位マイクロソフトと3位アップルが3兆ドル後半の時価総額を付けているのに対して、10位のJPモルガン、11位のウォルマートが0.8兆ドル、15位のビザ、18位のエクソン、19位のジョンソン・エンド・ジョンソンが0.5兆ドル前後と、オールドエコノミーな銘柄の存在感は随分小さい。 30年前の時価総額上位銘柄は、人々が暮らす街並みそのものであり、実体経済と密接に結びついた銘柄だけで占められていた。 そうした企業が成長するには店舗や工場を次々に新設する必要があり、それには多く